ProofGuard AI
リソース · 比較

Law8 AI と Harvey の比較。

Harvey と Law8 AI は、どちらも生成 AI を法律業務に取り入れるものですが、出発点となる考え方が異なります。Harvey は、事務所の既存のシステムと並行して機能する AI ワークスペースです。Law8 AI は、分野特化型 AI を案件記録に組み込んだ案件管理プラットフォームです。
PROOFGUARD AI · 2026年10月5日 · 約9分で読めます

二つの異なる出発点

リーガル AI 製品の多くは、二つの問いのどちらかに答えるものです。一つ目は、弁護士が手元のあらゆる書類とリサーチにわたって使える、有能な AI アシスタントをどのように提供するかという問いです。二つ目は、事務所がすでに案件を運営しているシステムの中に AI を組み込み、指示しなくても AI が案件、取扱分野、期限を把握している状態をどのように実現するかという問いです。Harvey は、一つ目の問いに対する最もよく知られた答えです。Law8 AI は、二つ目の問いを軸に構築されています。

Harvey とは

Harvey は 2022 年に設立され、多くの大規模法律事務所と企業法務部門で利用されています。同社の公開資料では、主に次の四つの構成要素が説明されています。

  • Assistant。起案、質疑応答、Word 文書の編集。
  • Vault。大量の文書の安全な保管と一括分析。レビュー用の表と引用元の表示を備えています。
  • ワークフローエージェント。複数の手順からなる法律業務を実行する、あらかじめ用意されたエージェントと事務所が独自に構築したエージェント。
  • Knowledge。法律、規制、税務の情報源を横断するリサーチ。

Harvey は自らを「設計段階からマルチモデル」と説明しており、2025 年から OpenAI、Anthropic、Google のモデルを提供しています。クラウドサービスとして稼働し、事務所がすでに使っている文書管理システムやファイルストレージと連携します。案件管理システムではないため、案件、カレンダー、期限は事務所のほかのソフトウェアで管理されます。

Law8 AI とは

Law8 AI は、案件管理・ワークスペースプラットフォームです。案件、依頼者、書類、カレンダー、タスク、チームチャットが一つのワークスペースにまとまり、役割別・案件別の権限で管理され、誰がいつ何を行ったかが監査証跡に記録されます。AI は、そのワークスペースの中で機能します。

  • 記録アシスタント。事務所自身の案件記録に基づいて回答します。対象は一つの分野別ワークスペースに限定されます。
  • 書類 AI。アップロードされた書類を適切な案件に振り分け、その案件類型で不足している書類を指摘します。
  • 起案。事務所のテンプレートから、案件の情報を反映した初稿を作成し、弁護士の確認待ちに回します。
  • 分野別 AI。選択した分野別モジュールに応じて切り替わるツールとロジック。詳しくは後述します。

Law8 AI は、事務所の自社サーバー上での運用、ProofGuard AI によるマネージド運用、またはハイブリッド構成で導入できます。弁護士の確認なしに送信や提出が行われることはありません。Law8 AI は市場ごとに順次提供されています。台湾版は提供中で、日本版、韓国版、シンガポール版は開発中です。また、Law8 AI America は米国の実務向けに準備を進めています。

分野別モジュール:取扱分野に応じて AI が変わる

Law8 AI には 8 つの分野別モジュールがあります。8 つの製品でも、同じチャットボットを 8 つ並べたものでもありません。モジュールを選ぶと、AI が用いる法的文脈、システム指示、業務ロジック、利用できるツール、検索の挙動、用語、規則に基づく処理、構造化された出力が切り替わります。案件記録、ナビゲーション、チームは変わりません。

  • 企業法務。AI は、構成、条件、義務、変更点、リスクの観点から契約書を読み解きます。契約書のレビューと要約、版の比較、条項と義務の抽出、変更または欠落した条項の検出を行います。
  • 民事訴訟。AI は訴訟分析アシスタントとして機能します。裁判例と引用文献の調査、有利・不利な裁判例、主張の分析、事件の時系列、証拠の比較、矛盾の検出を行います。
  • 刑事弁護。AI は、記録と想定される検察側の主張に照らして弁護方針を検証します。根拠の乏しい前提、証拠上の欠落、矛盾、反論を洗い出します。

株式譲渡契約の案件から契約紛争の案件に移る弁護士は、新しいチャットを始める必要も、別の製品を開く必要もありません。企業法務から民事訴訟に切り替えると、ツール、リサーチの方法、出力の形式が訴訟に適したものに切り替わります。現在の重点 AI エンジンは、民事訴訟、刑事弁護、企業法務です。その他の 5 つのモジュール(知的財産・特許、不動産、家事・相続、労働・雇用、金融法)はワークスペースとしてすべての機能を提供しており、専用の AI ワークフローは開発中です。

複数のモデル、一つの案件記録

Law8 AI は、複数のモデルを組み合わせるシステムとして構築されています。あらゆる法律業務で最も優れた単一のモデルは存在しないため、各分野別モジュールは、それぞれの作業をその作業に適したモデル、ツール、または規則に基づく処理に振り分けます。定型的な解析、抽出、規則の確認は、導入時にそのように設定されていれば、ローカル環境で実行できます。より高度な推論や法律リサーチを要する作業には、その作業に適したモデルやサービスを使い、許可された作業に必要な情報のみを渡します。

分野別モジュールが文脈を設定するため、ツールを切り替えるのと同じ選択によって、各作業の振り分け方も変わります。弁護士が取扱分野を選び、システムがそれに合わせて切り替わります。Harvey も複数の提供者のモデルを利用しています。実務上の違いは、モデルの使い分けを何が決めるかにあります。Law8 AI では、それが案件の取扱分野です。

項目別の比較

HarveyLaw8 AI
基本設計AI ワークスペース(Assistant、Vault、ワークフローエージェント、Knowledge)案件記録の中に AI を組み込んだ案件管理プラットフォーム
基幹記録システム事務所の既存の文書管理システムや業務管理システムと並行して機能それ自体が基幹記録システム(案件、依頼者、書類、カレンダー、タスク、チャット、権限、監査証跡)
分野への対応訴訟、取引、企業内法務の業務向けのワークフローとエージェント、および事務所が独自に構築するエージェント8 つの分野別モジュール。モジュールを選ぶと、AI の文脈、ツール、検索、出力が切り替わる
モデルOpenAI、Anthropic、Google を含む複数の提供者複数モデルのシステム。分野別モジュールごとに作業を振り分け、設定に応じてローカルで処理
導入形態クラウドサービス事務所のサーバー、ProofGuard AI によるマネージド運用、またはハイブリッド
リサーチ法律、規制、税務にわたる幅広いリサーチ情報源台湾版では裁判例と引用文献の調査。市場ごとに現地の法律データとの連携を構築
対象市場多くの国の大規模法律事務所と企業法務部門台湾版は提供中。日本、韓国、シンガポール版は開発中。米国版は準備中
確認出力は引用元とともに利用者が確認弁護士の確認なしに送信や提出が行われることはなく、すべての操作を記録

貴所に適しているのはどちらか

Harvey は、既存のシステムの上で使える幅広い AI ワークスペース、充実したリサーチ情報源、多数の案件にわたる大量の文書の一括分析を求める事務所に適しています。そうした事務所の多くは大規模な事務所です。

Law8 AI は、案件管理と AI を一か所にまとめたい事務所、各案件の取扱分野に応じて AI の挙動が変わることを求める事務所、自社サーバーまたはハイブリッド構成での導入を望む事務所、そして自らの市場の法律用語と裁判手続に合わせて構築された版を求める事務所に適しています。両者は互いに排他的なものではありません。AI ワークスペースと案件管理プラットフォームは異なる役割を担うものであり、両方を利用する事務所もあるでしょう。

まとめ

Harvey と Law8 AI は、いずれも本格的なリーガル AI プラットフォームですが、重心の置き方が異なります。Harvey は AI ワークスペースを中心に据えています。Law8 AI は案件を中心に据え、分野別モジュールごとにツール、ロジック、モデルの振り分けを切り替えます。どちらが適切かは、事務所が AI をどこに置きたいかによって決まります。

Law8 AI と分野別モジュールの詳細をご覧いただくか、貴所の実際の業務の流れに沿ったデモをご依頼ください。

Harvey に関する情報は、2026 年 10 月時点の Harvey の公開資料に基づいています。これには「Why Harvey is multi model by design」(Harvey が設計段階からマルチモデルである理由)および「The Brief, April 2026」が含まれます。Harvey はその所有者の商標です。ProofGuard AI は Harvey と提携関係にありません。

その他のリソース